NO76  自己肯定感


「あなたは、自分のことが好きですか」「あなたは、よいところがあると思いますか」「あなたは、まわりの人に信頼されていますか」この三の質問に覚えがありますか?

 昨年7月と12月に皆さんが回答したアンケートの中から、ポイントの低い方から選んだ三の質問です。自分を否定的に見る青年期前期(中学生~高校生)の特徴がよく出ています。

 心理学で「メタ認知」という用語がよく使われています。認知とは見たり、聞いたり、覚えたり、考えたりといういわゆる精神活動のことですが、メタ認知とは「認知の認知、つまり認知している自分を認知する、客観的に自分を認識する」ことです。幼児は認知の能力はありますが「自分が存在している」と考えることはありません。チンパンジーやゴリラにも認知能力はありますがメタ認知能力は無いといわれています。チンパンジーが「俺は隣のチンパンジーより偉いと」考えるとはとても想像できません。

 人は成長の過程でメタ認知能力が身に付き(4~5歳くらい?)自分を客観的に見る目ができて、他人と自分を比べるようになります。他人は周りに無数にいますし、比べる項目も多いので当然自分の劣る項目の方が目につくことになります。これが劣等感の始まりです。

 これから抜け出る方法は、個々の能力や特徴を個別に比べるのではなく総体としての自分はこの世には他にはいないという考え方を持つことです。あなたがもっている、ある趣味、ある好み、ある考え方、ある能力、ある感性、ある…を持った人は世界中探しても見つからないでしょう。つまりあなたという存在はこの世で唯一人です。唯一つのものは他と比べようがありません。

 となると、自分が何をすればよいかが自ずと見えてきます。自分が持っているのをよりよく磨いて伸ばすことです。独自性、個性を宝として大切にすることです。他人と比べることではありません。このようにして、全ての人が持って生まれた能力を100パーセント伸ばすことができれば人類全体の幸福につながることになります。個人が全人類とつながる根拠となるものです。これは進化論が教えていることとも一致しています。

※イジメ行為が否定されるのも、個人のよりよく成長したいという意欲を阻害し人類全体の幸福追求に反するからではないでしょうか。